JONPFレター No.10
「診療看護師(NP)認知度向上と看護の質向上に向けた活動報告」
山形大学医学部附属病院
診療看護師(NP)尾崎太郎
はじめに
私は、山形県山形市にあります山形大学医学部附属病院で勤務している尾崎太郎と申します。私は2023年度に診療看護師(NP)資格を取得しました。現在、私が勤務する大学病院では、診療看護師(NP)資格を取得した者はまだ1名です。そこでまず、院内の診療看護師(NP)認知度を向上させるとともに、看護の質向上を目指し様々な活動を展開したいと考えています。以下に、現在の取り組みについて報告いたします。
1.診療看護師(NP)のイメージキャラクター作成と普及活動
今年度よりご縁をいただき、日本NP学会東北地方会役員を拝命いたしました。また、2025年度には山形の地で日本NP学会東北地方会を開催する予定です。この学会の開催に向けて、診療看護師(NP)を広く社会に知ってもらうためのイメージキャラクターを作成しています。現在、キャラクターの名前を募集中です。この活動を私の第一歩として、診療看護師(NP)の役割を一般の人々や医療従事者に理解してもらうことを目的とした普及活動を行います。この活動を通じて、診療看護師(NP)の存在感を高め、より多くの人々に診療看護師(NP)の重要性を認識していただくことを目指しています。

2. TABASCO活動による診療看護師(NP)の実践と医療チームの強化
院内での診療看護師(NP)認知度向上を図るため、「TABASCO」と呼ばれる活動を展開しています。「TABASCO」とは、診療看護師(NP)が医療においてスパイスのような役割を果たすという意味です。
T: Treatment(治療): 診療看護師(NP)は患者の治療過程をサポートします。
A: Assessment(評価): 診療看護師(NP)は患者の状態を詳細に評価します。
B: Benefit(利益): この活動によって患者と医療チームの双方に多くの利益をもたらします。
A: Advocacy(支援): 診療看護師(NP)は患者の権利とニーズを積極的に支援します。
S: Safety(安全): 患者の安全を最優先に考えたケアが提供されます。
C: Care(ケア): 診療看護師(NP)は質の高いケアを提供します。 O: Optimization(最適化): 医療資源の最適化を目指し、効率的なケアを実現します。

3.院内のクリニカルラダー研修:PICC管理の学習会の実施
今年度より、クリニカルラダーに応じた研修の一環として、看護師を対象に診療看護師(NP)によるPICC(末梢挿入型中心静脈カテーテル)管理に関する学習会を開催しました。この研修は、看護師の専門的な知識と技術の向上を図るとともに、PICCによる合併症の予防に役立つ実践的な知識を提供することを目的としています。参加者からは「とても勉強になった」「分かりやすかった」との好評をいただき、私自身も大変励みになっています。今後も引き続き、研修内容の充実を図り、看護師のスキルアップに貢献していきたいと考えています。

4. 早期離床リハビリテーションケア加算算定の取り組み
患者の早期回復を支援するため、超急性期からベッドサイドでのリハビリテーションを充実させることで「早期離床リハビリテーションケア加算」を算定しています。私は診療看護師(NP)として、その実践を推進し病院経営にも貢献しています。具体的には、医師・理学療法士と連携し、患者ごとの状態に合わせたリハビリテーション計画を作成しています。また、早期離床リハビリテーションケア加算算定に関わるフローチャートを作成し、関連部署のスタッフも取り組めるようにしています。この取り組みを通じて、患者の入院期間の短縮とQOL(生活の質)の向上を図っています。
5. 診療放射線技師に対する静脈注射の手技・実技指導
診療放射線技師を対象とした厚生労働大臣指定研修(告示研修)で、診療看護師(NP)・特定行為研修修了者・放射線部看護師とで静脈注射の手技および実技指導を担っています。この研修は、診療放射線技師の静脈注射技術の向上と安全な医療提供を目的としており、私の専門知識を活かし、実践的な指導を行っています。
6.看護の質向上と医師および看護師の負担軽減に向けた取り組み
診療看護師(NP)の実践を通じて看護の質を向上させることを目指すとともに、医師および看護師の負担軽減を図ることを目指しています。現在、院内委員会を通じて、診療看護師(NP)および特定行為研修修了者の活用(相対的医行為を含む)に向けたワーキンググループが発足し、今後の活動に向けて準備が進められています。多職種との協働を強化し、看護師の実践能力を高めることで、医療チーム全体の効率を向上させることが、今後の目標です。
おわりに
これらの活動を通じて、診療看護師(NP)としての役割を発揮し、患者へのケアの質の保障、看護の質向上、医療における各職種の役割発揮、そして医療チーム全体の成果向上に貢献できると考えています。
私のこれまでの活動の影響かどうかは定かではありませんが、最近では当院から大学院の診療看護師(NP)コースへ進学するスタッフが増えてきました。今後は、私自身だけではなく後進スタッフのモチベーションを維持するためにも、引き続き診療看護師(NP)としての活動を進めていきたいと考えています。

