JONPFレター|一般社団法人 日本NP教育大学院協議会

JONPFレター

JONPFレターについて

JONPFレターは、会員校等が実施したイベント等の成果や、診療看護師(NP)に関するさまざまな報告などをレターとして投稿していただき、診療看護師(NP)に関する情報を、広く社会に知っていただくことを目的としています。
レターでは、下記の内容を投稿していただきたく思います。

  • 会員校、関連施設の紹介
  • 会員校が実施したイベント等の報告
  • 診療看護師(NP)の制度化・教育・資質向上に関する報告
  • 投稿されたレターに対する意見や提案
  • その他

投稿は事務局(maf-jonpf@mynavi.jp)でお受けしております。
皆様からの投稿をお待ちしております。

日本NP教育大学院協議会 広報委員会

JONPFインタビュー企画 −診療看護師(NP)の「いま」と「これから」−

 本企画は、日本NP教育大学院協議会(JONPF)の広報活動の一環として、JONPFレターに新たに設けられたインタビュー企画です。

本会ではこれまで、レターを通じて、会員校や診療看護師(NP)の活動を「生の声」として発信してきました。本インタビュー企画では、その取り組みをさらに発展させ、会長や各委員会の委員長をはじめとする、NP教育・制度検討を牽引するキーパーソンに焦点を当て、制度や役割の枠を超えて、NP教育に対する想いやこれまでの実践、そして今後の展望を、対話形式で分かりやすくお伝えします。

 NPを初めて知る方はもちろん、すでにNP教育や実践に関わっている方にとっても、記事を通して「NPとは何か」「これからどこへ向かうのか」を改めて考え、本会の活動をより深く知っていただく機会となると思います。

広報委員会

JONPFレター No.12
NP像はぶれていない ―2008年の教育開始から、国家資格化を見据えて―

広報委員会インタビュー企画 日本NP教育大学院協議会 草間朋子 会長

「診療看護師(以下、NP)」という言葉を医療や看護の現場で耳にする機会が、少しずつ増えてきています。一方で、「NPとはどのような看護職なのか」「看護師と何が違うのか」と聞かれると、はっきり説明できる人は多くありません。

NPは、看護師の資格を基盤としながら、大学院で診療に関する専門教育を受け、患者を包括的に評価し、一定の範囲で医療判断と実践を担う看護職です。2008年に教育が始まってから15年以上が経ち、現在は全国で約1,000名が活躍しています。

本インタビューでは、NP教育の立ち上げ当初から制度づくりと教育に関わってきた日本NP教育大学院協議会(JONPF)会長の草間朋子氏に、なぜNPが必要とされたのか、どのような看護職を目指してきたのか、そして今後どこへ向かうのかについて、できるだけ率直な言葉で語っていただきました。

NPを初めて知る方にも、すでに関わっている方にも、「NPとは何か」をあらためて考える手がかりとなるインタビューです。

1.NP教育の原点 ―医療と社会の課題から―

池田:2008年にNP教育を開始されていますが、まず当時の背景と、現在に至るまで変わらずお持ちの考えについて教えてください。

草間:2008年に大分でNPの養成教育を始めましたが、当初から今、そして将来に至るまで、私の中でNP像そのものは全く変わっていませんし、ブレていないつもりです。
 2008年当時は、救急患者のたらい回しが大きな社会問題になっていましたし、高齢者が増える中で、いくつもの慢性疾患を抱えた方が多く、外来では長時間待って、診察はほんの数分で終わる、いわゆる“3分診療”が当たり前のように行われていました。
 同じ頃に、看護系大学や大学院の修士課程が一気に増えてきました。そうした状況を見て、大学院を修了した看護職が、社会や医療の課題にどう貢献していくのかを、きちんと示す必要があるのではないかと考えたのです。
 ですから、NP教育は制度を作ること自体が目的だったわけではなくて、社会や医療が抱えている課題に、実践的に応えられる看護職を育てたい、という思いから始まりました。

2.草間会長が示すNP像 ―看護を基盤とした高度実践―

池田:その中で、草間会長が考えるNP像とは、どのような専門職なのでしょうか。

草間:私が考えているNP像は、わりとシンプルです。まず大前提として、看護師の資格を持っていて、そのスキルをしっかり基盤にしていることです。
 その上で、病態生理、薬理、フィジカルアセスメント、いわゆる3Pを、学部教育よりも高いレベルで身につけている必要があります。ただ知識として知っているということではなくて、それを臨床判断に結びつけられるレベルまで高める、ということです。
そして、包括的に患者さんをアセスメントして、その結果に基づいて、一定範囲の診療に関して、判断と実践を責任を持って行える看護職であること。看護を基盤にしながら、そこまで担える存在として育てたい、というのが、NP教育で一貫して考えてきたことです。

池田:私も今NP教育に携わっていますが、このNP像を、NPを目指す学生がそれぞれ具体的にイメージできるように伝えることが重要だと感じています。

3.診療看護師(NP)の定義と役割

池田:NPについては、NP大学院協議会として公式な定義も示されています。その定義と、NPの役割についてどのように考えていますか。

草間:NP大学院協議会では、診療看護師(NP)を、教育課程を修了して、資格認定試験に合格した者で、患者さんのQOL向上のために、医師や多職種と連携・協働しながら、倫理的かつ科学的根拠に基づいて一定レベルの診療を行うことができる看護師」と定義しています。
 この定義にある通りで、NPは医師の代わりになる存在ではありませんし、単にできる行為が増えた看護師というわけでもありません。患者さんのQOL向上のために、多職種と協働しながら、一定レベルの診療を自律的に担う看護職だと考えています。

4.特定行為研修とNP ―自律性という違い―

池田:2008年のNP養成開始時点と現在で大きく異なっている点は、看護師の特定行為研修制度の存在です。この制度により、研修を修了した看護師は手順書に沿って医師の包括的指示のもと一定の診療の補助を行うことができるようになりました。この特定行為研修修了者と、NPとの違いについてはどのようにお考えでしょうか。

草間:特定行為研修は、看護師の役割を広げるという意味では、一定の意義がある制度だと思っています。ただ、包括的指示とはいえ、基本的には医師の指示の枠組みの中で行われるものです。
 一方で、私がNP教育で特に大事にしてきたのは、自らの経験をベースに自分で判断して、その判断に責任を持つという“自律性”です。NPが目指しているのは、診療の補助行為を増やすことではなくて、“一定範囲の診療”を、自分の判断で担うことだと考えています。

5.「一定範囲の診療」という考え方

池田:その“一定範囲の診療”について、もう少し詳しく教えてください。

草間:私は、“一定範囲の診療”を、絶対的医行為を除いた診療だと整理することだと思っています。NPができる行為を一つひとつ並べるよりも、NPが行ってはいけない医行為(絶対的医行為)を明確にした上で、それ以外を担う、という考え方の方が現実的だと思っています。
 そう整理できれば、教育課程(カリキュラム)も、資格認定試験の出題基準も、自然と明確になってきます。ただし、実際の医療現場でどこまで担えるかは、個々のNPの経験や習得している能力によって違います。だからこそ、NPには自分の能力を誠実にリスペクトできる謙虚さが必要だと思っています。

池田:“一定範囲の診療”を、絶対的医行為を除いた診療だと整理できると、NPの役割をもっと説明しやすくなりますね。

6.NP協議会とこれからの課題

池田:これからのNP協議会の役割と課題についてはどのようにお考えですか。

草間:NP協議会としては、養成課程の審査や資格認定、研修、資格更新を通じて、NPの質を担保する仕組みを整えてきました。教育と質保証の枠組み自体は、ほぼ出来上がっていると思っています。
 これからの最大の課題は、やはり国家資格化です。そのためには、NPとは何者で、何を担う専門職なのかを、社会に対してきちんと説明していくことが必要だと考えています。

7.おわりに ―NPの実践が制度を前に進める―

池田:最後に、NPとして活動している方々、そしてこれからNPを目指す方々へメッセージをお願いします。

草間:人口減少や医療人材不足が進む中で、NPは病院医療と在宅医療の両方を支える存在として期待されていると思います。NP一人ひとりの実践そのものが、国家資格化に向けた象徴になります。ミスを起こさないこと、そして社会から見られている存在だということを常に意識して活動してほしいと思っています。NP教育は、原点を大切にしながら、今まさに次の段階へ進もうとしているところです。

池田:今回のインタビューから伝わってくるのは、NPという看護職が、制度や名称から生まれたのではなく、医療と社会の課題から生まれた存在であるという点です。救急医療の逼迫、高齢化、慢性疾患を抱える患者の増加。そうした現実の中で、「看護師としての専門性を土台に、より広い視点で患者を支える存在」が求められてきました。NPは、その問いに応える形で育てられてきた看護職です。
 看護を基盤とし、患者を総合的に捉え、チームの一員として、一定の範囲で医療判断と実践を担う。その姿は、教育開始から15年以上が経った今も、変わっていません。制度としての整備は、まだ道半ばです。しかし、現場で積み重ねられてきた一人ひとりの実践が、NPという役割を社会に根づかせ、次の医療の形をつくっていくのです。NPを知ることは、これからの医療や看護のあり方を考えることでもあります。本インタビューが、その理解を深める一助となれば幸いです。

インタビュー:東京医療保健大学医療保健学部看護学科基礎看護領域 講師
大学院医療保健学研究科プライマリケア看護学領域 講師
池田 達弥

JONPFレター No.11
NP資格試験評価委員会について

 2008年4月にNP養成教育がスタートし、第1回のNP資格試験が2011年3月に実施されました。それから数えて今年(2025年度)のNP資格試験は第16回目となりました。第1回の資格試験が2010年3月ではなく2011年に行われた理由は、NP養成教育を最初に開始した大分県立看護科学大学の1期生が、長期履修制度を活用して3年間かけて課程を修了したためでした。第1回NP資格試験の受験生は、大分県立看護科学大学の1期生と2期生、国際医療福祉大学の1期生のたった10名でしたが、2025年度の第16回のNP資格試験では、150名前後の受験者が予定されております。海外でNPとして活動しておられる方で、日本の診療看護師(NP)として活動することを希望し、NP資格試験を受験し、すでに診療看護師(NP)として活躍していただいている方もおられます。

 ご承知のように日本NP教育大学院協議会(以下、本協議会)ではNPを国の免許にすることを目指した活動を続けておりますが、本協議会の資格認定に留まっており、本協議会がNP資格認定試験を行っております。全ての参加校のご意見を集約して試験問題の作成、試験の運営を行ってまいりましたが、本協議会の行うNP資格試験が、診療看護師(NP)の資格認定に相応しい試験であること(出題基準、合否の判断基準など)、公正、公平に実施されていること等を評価していただくために、第三者からなるNP資格試験評価委員会(以下、評価委員会)を設置しており、COVID-19流行期間も休まず毎年開催しております。2025年度の評価委員は、新木一弘先生(国立病院機構)、秋山智弥先生(日本看護協会)、鎌倉やよい先生(日本看護系大学協議会)、学識経験者として、清水嘉与子先生(日本訪問看護財団前会長)、山本則子先生(東京大学教授)、齋木佳克先生(東北大学教授・心臓血管外科学会理事)、塚田(哲翁)弥生先生(日本医科大学病院教授・日本循環器学会理事)、及び、エクランド 源 稚子先生(アメリカNP)にお願いしております。 評価委員の先生方からは、試験内容が患者の健康と生活を支える役割を果たす診療看護師のスキルを確認することができているかどうか、医療の進化・発展を反映した試験問題となっているかどうか、最新の医療保健関連法規が取り上げているかどうか等、さまざまな視点からの意見をいただき、改善に結びつけております。

 これまでNP資格試験は専門領域をクリティカル、プライマリ・ケア(成人老年および小児)の3領域に分けて実施しておりましたが、第16回NP資格試験からは、試験問題を統一することにしました。従来より委員会、本協議会ではNPの資格内容に鑑み、また国家資格化を目指す上でも統一した内容の試験が望ましいとして試験問題の統一について検討を進めてきましたが、評価委員の先生方からも「一つの資格を目指すためには一つの試験に統一すべきである」と強く支持していただいております。今後もNP資格にふさわしい内容の試験とし、公正、公平な運営を行ってまいりたいと考えております。

NP資格試験委員会委員長  渡邊隆夫

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