協議会概要
診療看護師(NP)へのご理解を

診療看護師(NP)をご存知でしょうか。
2008年に、日本NP教育大学院協議会(当初はNP連絡会でした)が、診療看護師(NP)の教育を開始してからすでに17年が経ちました。診療看護師(NP)は、看護に関わる能力に、患者さんたちの健康状態をさまざまな視点から「包括的にアセスメントできる能力」、および、患者さんたちの症状をコントロールすることができる「医療処置マネジメント能力」を付加・強化し、「一定範囲の診療」を自律的に提供することができる看護職として、養成しております。アメリカをはじめとした諸外国では、ナースプラクティショーナーとして、患者さんと物理的にも心理的にも最も身近な存在として、患者さんおよび医療スタッフ等の信頼を得て活躍しております。
世界に類を見ないスピードで進む少子高齢化や疾病構造などの変化に伴う医療の体制の改善が求められる中で。健全な医療体制の確保・発展に看護として関与していくために、看護系の大学院修士課程の教育資源を社会に還元し、「いつでも」「どこでも」全ての人々に公平、公正な医療・看護をタイムリーに提供できる、看護の専門性を特化し強化した診療看護師(NP)を養成したいと考え、2008年に3名の院生を対象にした教育を始めました。それから17年が経過した現在、診療看護師(NP)を養成する大学院は19大学院になり、本協議会が「NP資格」を認定した診療看護師(NP)は984名となりました。
当協議会は、大学院における教育カリキュラム等の均質化・標準化を図ると同時に、当協議会が目標としている診療看護師(NP)の資質を習得していることを確認するための「NP資格試験」(2025年度の試験で第16 回の試験となります)、さらに5年ごとの「資格更新」などの仕組みも整備し、診療看護師(NP)の質の確保に努めてまいりました。その結果、教育に関わるシステムは、現在、ほぼ、整ってきたと考えております。
当協議会の「NP資格」を修得した診療看護師(NP)は、医師をはじめとした多くの医療従事者の皆様と連携、協働しながら、病院はもとより、診療所や老健施設、訪問看護ステーションなどで活動しております。しかし、現在、活動中の診療看護師(NP)は、現行法令下での、さまざまな制限の下で活動せざるを得ない状況にあり、当協議会が目標としている診療看護師(NP)としての機能を十分に発揮できない状況に置かれております。人々の「いのち」「健康」に関わる活動をしていくためには、法制度の確立が不可欠です。当協議会は、診療看護師(NP)が、安心し、プライドを持って診療看護師(NP)としての役割を提供できるための、法制度の整備に向けてのさまざまな活動も2008年から続けてまいりました。しかし現在も、制度化の目処が立っていないことを残念に思っております。
制度化を求めていく上で、多くの医療関係者や患者さん、国民の皆さまに、診療看護師(NP)の活動・役割に対して関心を持っていただき、その必要性・重要性をご理解いただくことが極めて重要だと思っております。
「チーム医療のキーパーソン」「地域医療のゲートキーパー」を目指している診療看護師(NP)は、高齢化率が35%を超えることが予測されている今後の日本の医療を支えていくことができる人材であると信じております。精一杯頑張っている診療看護師(NP)が、皆様に満足していただける医療を安心して安全に提供できるよう、当協議会は、診療看護師(NP)の制度化に向けて全力投球をしてまいります。
診療看護師(NP)の活動をご理解いただき、制度化に向けてお力を貸していただくことを心からお願い申し上げます。
日本NP教育大学院協議会会長
草間 朋子