JONPFレターNo.09|一般社団法人 日本NP教育大学院協議会

JONPFレターNo.09

JONPFレター No.9 NP認定資格取得後の卒後研修

愛知医科大学病院 NP部   
診療看護師(NP) 若林妙子

 私は、令和5年に愛知医科大学病院に入職し、現在2年目の診療看護師(NP)卒後研修を行っています。私が入職したときには、NP部が設立したところであり、卒後研修生は4名でした。現在は2年目6名、1年目7名が研修を行っています。

◆卒後研修を受けようと思ったきっかけ
 私は、佐久大学大学院プライマリケア看護コースを修了し、NP資格認定試験に合格した後、市中病院に就職しました。しかし徐々に知識や経験不足を感じ、診療看護師(NP)のタスクシフトの実際やどのように資格を社会に生かしていけるのかを知りたいという思いが強くなりました。そのような時に、他の大学院を卒業した診療看護師(NP)も卒後研修を受け入れていることを知り、思い切って連絡したのがきっかけでした。

◆診療看護師(NP)としての卒後研修の実際について
 2年間は卒後研修プログラムに沿って研修を行います。研修は、医学の知識、技術の向上を目指し、高度実践看護師としての臨床実践能力を習得することを目的としています。診療看護師(NP)に求められる能力である7つのコンピテンシーを学ぶことができます。
 研修の必須研修診療科は、麻酔科、GICU、ERで、その他の診療科は選択することができます。短期間でしたが、放射線科や生理機能検査室、感染症管理室で研修を行いました。医学的な教育は医師から直接指導を受けます。研修で得た医学的な知識を、診療看護師(NP)としてどのようにチーム医療に活かしていくことができるかということを考えながら取り組んでいます。

 麻酔科、GICU、神経内科での研修の学びについて報告します。

【麻酔科:8ヶ月】
 麻酔科での研修では、小児から高齢者までの様々な手術の全身麻酔を1~3症例/日担当します。その担当症例の術前から術中、術後における周術期管理の実際を学ぶことができました。具体的には、麻酔中の循環や呼吸管理に関する知識や技術などを麻酔科医から学び、診療看護師(NP)からは手術を受ける患者に対する高度実践看護の指導を受けました。
 私はこれまで手術室での勤務経験がありましたが、診療看護師(NP)として研修では、「命を預かる」という重責を強く感じました。診療看護師(NP)としては、安全な医療を提供するために医学的な知識や技術を理解することは最も重要なことであり、同時に手術を受ける患者一人ひとりの力を最大限に引き出し、安心して手術を受けることができるよう支援することも大切であると考えます。そして、手術が必要になることがあれば、背景やその先の生活を見据え、身近な存在となり支援していきたいと思います。

【GICU(General Intensive Care Unit):3ヶ月】
 GICUでは、心臓外科の術後患者や病院内の重症患者に対し、全身管理や人工呼吸管理、薬剤管理、栄養管理、多職種とのチーム医療について学びます。診療看護師(NP)から直接指導を受ける機会が多く、患者を中心としたチーム医療における診療看護師(NP)の役割を学習することができました。
 研修中は、指導医と共に担当患者の病態や治療に関して議論することができます。指導医や看護師、薬剤師、栄養士、理学療法士などと行う多職種カンファレンスでは、実際に患者の経過や病態のプレゼンテーションを行うことで、患者の情報を整理することができました。さらに、多職種とディスカッションする機会も多いため、多職種の役割の理解することができ、専門職の意見を尊重しながら専門性を発揮する多職種協働について深く学習することができました。診療看護師(NP)として、病態を判断すると同時に、多職種の意見を聞き、患者のケアや治療が効果的に行うことができるように、チーム医療を推進してきたいと考えます。
 GICUの診療看護師(NP)は、ICUの患者管理だけでなく、RRSの役割を担っています。医師との連携において、臨床推論や急変時の対応能力を深めていかなければならないと痛感しました。

【神経内科:3ヶ月】
 神経内科では、症例を通して、解剖やCT・MRIの読影方法、疾患の必要な知識などの教育を受けることができます。神経学的所見の取り方なども、指導医から直接指導していただけるため、大変有意義な学習をすることが可能です。カンファレンスでは、新患症例のプレゼンテーションを行い、病態の理解をさらに深めることができます。
 患者によって、症状や障害が違うため、社会復帰に向けての課題も個々で違います。残された機能を活かしながら生活できるように、病棟スタッフやPT・ST、MSWとの連携が必要となります。診療看護師(NP)として、医学的視点や看護の視点を活かしながら、多職種と連携し継続した支援につなげていきたいと思います。

◆今後について
 当院の卒後研修プログラムは、医学的な知識や技術の学習を行うと同時に、高度実践看護師である診療看護師(NP)の役割についても学ぶことができます。これまで受けてきた教育を更に発展すべく、今後は病態生理と疾患や症候を結び付けて考える医学的な視点を深め、チーム医療においてそれぞれの専門性を発揮できるよう多職種と連携を図りたいと思います。さらに診療看護師(NP)が行う看護実践のあり方や役割を追求していきたいと思います。