JONPFレターNo.06|一般社団法人 日本NP教育大学院協議会

JONPFレターNo.06

JONPFレター No.6 NPの標準装備「POCUSエコー」のすすめ

順天堂大学医学部附属順天堂医院
NP準備室/心臓血管外科
診療看護師 重冨杏子

Point-of-care ultrasound(POCUS)とは、担当医療者自らが、ベッドサイドで、特定の目的に対してポイントを絞って超音波検査を行い、臨床状況と合わせて判断する超音波検査の総称です。検査項目を限定し、評価基準を明確化することで、非専門家でも習得しやすいのが特徴です。そのため医師だけでなく診療看護師(NP)や看護師への普及も期待されています。もともとは欧米で救急・集中治療領域から広まったコンセプトですが、過去10年間で世界的に普及し、入院患者管理、プライマリ・ケアや在宅医療での有効性が提唱されつつあります。簡便かつ非侵襲的、そしてなによりも身体所見にエコーという客観的データを付加することで、より正確で素早い判断を導くことができるPOCUSエコーは、診療看護師(NP)の臨床活動に非常に親和性が高く、標準装備したいスキルの一つといえます。

近年、様々な団体がPOCUSトレーニングコースを開催していますが、このたびJHospitalist Network(http://hospitalist.jp)が主催するJHN-POCUSコースでは診療看護師(NP)も受講可能となりました。本コースはもともと医師向けに実施されていたものですが、2018年に実施した調査では、診療看護師(NP)や特定行為研修修了看護師に対する教育効果だけでなく、コース受講後のエコー実施件数の増加といった効果が期待できる可能性も示唆されています(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36691022/)。

コースは2日間、座学+小グループ制のハンズオンで実施されます。エコーの基本的な走査方法から、領域別の描出と解釈まで、実践的な内容で構成されています。私自身も受講してみて、POCUSエコーは明日からでもすぐにベッドサイドで活用できるスキルであることを改めて実感しました。また今回、日本NP教育大学院協議会も本コースの後援となりました。診療看護師(NP)の中から指導者を育成し、同時に臨床研究も行いエビデンスを創出していくことで、さらなるPOCUSエコーの普及に努めていく予定です。

診療看護師(NP)や看護師がエコーを活用する場面は、これからますます増えていくことが予想されます。標準装備になるであろうPOCUSエコーを国際標準レベルで習得し、実践に活かしてみませんか。