JONPFレター No.3 2024年度能登半島沖地震におけるDMAT活動
藤田医科大学岡崎医療センター中央診療部FNP室
診療看護師(NP)宮崎友一
◆施設概要と活動
所在地 愛知県岡崎市針崎
当院は、愛知県西三河地区の医療偏在を打開すべく2020年4月開設された400床の2次救急医療機関です。ICU10床 HCU20床 診療科22科
当院には診療看護師(NP)4名が勤めており、主に救急科(ER)、麻酔科、心臓血管外科、循環器内科における業務に従事しています。私たちは、麻酔診療補助、手術や心臓カテーテルの助手を担いながら、一方で全員が救急科(ER)における初期診療に携わっている事が当診療看護師(NP)の特色と言えます。
◆2024年能登半島沖地震におけるDMAT活動にみる多職種連携、後方支援の重要性
2024年1月1日に発災した同震災において当院のDMAT(Disaster Medical Assistance Team)は初の実践参加となりました。当院は2023年に災害拠点病院として認可され、これを機に院内の潜在隊員を集め医師3名(内統括2名)、看護師6名(内診療看護師(NP)1名)、業務調整員2名でDMATを構成しました。これまで3度の訓練に参加してきましたが、チームとしての実践経験はなく院内の後方支援体制もまだ整備できていない状態でした。しかし、今回、元旦の発災にも関わらず同日17時には対策本部を立ち上げ、21時には出動の準備を整えるというスピード感で初動に当たることができました。これには普段の業務において多職種と「顔の見える、見知った」関係を築きながら仕事をしてきたことが重要であったと感じています。必要なME機器、薬剤、現地情報の収集などにおいて各関係部署に赴くと、人員も手薄で多忙な中で快く対応して頂きました。また、同僚である3人の診療看護師(NP)が、迅速に状況を把握し勤務調整や日常業務の後方支援を行なってくれました。元旦の本部の立ち上げから翌日の出動、5日間の活動が滞りなく遂行できたのはこの事に尽きると考えています。加えて私自身は1月23日から27日にも2回目の出動を拝命したため、その負担には頭が下がる思いです。本来、私たちはERの日勤(8:45-17:00)、中勤(12:30-21:00)、夜勤(16:30-翌09:00)を担っており、5日間の不在は日常業務を維持するのに大きな負担となります。そこを同僚達が快く引き受けてくれ、マイナス一人分を補填する業務を担ってくれました。災害医療は医療資源と医療ニーズのアンバランスによって被害が拡大していきます。そのアンバランスを是正するには所属部署の、ひいては病院全体の後方支援が必須です。医療者の人手不足が叫ばれる中、人員の確保に関する支援は最重要といっても過言ではありません。DMATというと派手なイメージもありますが、多くの隊員が、こうした後方支援に感謝しながら「現場に赴けばどんな仕事もやる」という気概で活動を行なっていると思います。
最後に私自身はこれまで2011年東北大震災では医療派遣で力が及ばなかったことを痛感し、2016年熊本地震では自身が被災しながら仕事を続ける難しさを学びました。2024年能登半島地震では、災害支援に関して一緒に考えらえる同僚に恵まれた事に感謝が尽きません。有事への備えは、平時の積み重ねです。引き続き平時の多職種や同僚との関わりを大切に業務に励みたいと考えます。最後に、今回の災害で命を落とされた皆様とそのご家族に心よりお悔やみを申し上げます。

